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速谷神社『斎館』完成

権禰宜 森元 英文

今日から『神無月』。神無月の語源については、諸説あります。出雲神話では、全国の神々が出雲に集まる月。つまり出雲以外の国では神がおられない月、「神なし月」であるという説があります。これは中世以降に広まった俗説のようです。

「無(な)」は助詞の「の」にあたり、「神の月」が語源とする説が、今ではもっとも有力です。雨の多い六月を、『水無月』と呼ぶのと同じ使い方です。

「神の月」と呼ぶ理由は、十月が「お祭月」だからです。神社の祭祀は農耕儀礼を基本としています。十月には秋の豊穣に感謝する「秋祭り」が、全国各地の神社で行われます。

速谷神社では毎年10月12日に、一年で最も大切な祭儀、『例祭』を執り行います。例祭を前に、ご祭神さまのご神恩に感謝の誠を捧げるため、「神楽舞の奉納」や「神輿の神幸」が行われます。

広島県は古くから神楽がたいへん盛んです。神楽の技を競う神楽競演大会は年中ひっきりなしに開催され、神楽はいまや広島で最も活気ある伝統芸能として定着しています。

そもそも神楽とは、神座に神を招いて生命力の更新を祈願する神事です。全国各地にさまざまな形態の神楽が伝えられていますが、すべての起源は「天の岩戸神話」のアメノウズメの舞いにさかのぼるといわれています。

芸北神楽写真
芸北神楽

広島県内には三百近い神楽団があります。この数は、「神話の里」として知られる島根県に匹敵します。広島県西部の瀬戸内海沿岸で行われる「安芸十二神祇」、島根県の石見神楽の伝統を受け継ぐ「芸北神楽」、学術的に高い評価を受けている「芸予諸島の神楽」、岡山県の備中神楽の影響を受ける「比婆荒神神楽」、さらに「備後神楽」などが有名です。

神楽殿写真
神楽殿

最近では演劇色の強い新しい神楽の研究も進み、「ひろしま神楽」として熱狂的に支持されています。きらびやかな衣装とキレのよいテンポで舞い通す華麗な舞いは、人々を魅了し、広島の神楽は芸術の域に達しているといっても過言ではありません。

速谷神社ではこの度、神楽舞の奉納にあわせて、常設の「神楽殿」を併設した『斎館』が完成しました。新しい「斎館」は「旧社務所」を改修したもので、旧社務所は昭和二年に完成した木造平屋素木造、銅板葺の建物です。

斎館写真
斎館

斎館中庭写真
斎館中庭

斎館写真
斎館

斎館中庭写真
斎館中庭

速谷神社は戦前、国家鎮護の役割を担う「官社」だったため、この建物の設計は旧内務省神社局が担当しました。基礎には堅く高価な『栗』をふんだんに使い、実用的で、余計な装飾を排した戦前の神社建築の特徴を伝える貴重な建物です。

この建物を後世に残しつつ、地域の皆さまに活用いただける施設にしようと、京都市にある「匠弘堂」の宮大工さん十人が神社に泊り込み、九ヶ月の歳月をかけて新しい斎館を造り上げました。

大広間写真
大広間

「斎館」とは、神職が祭儀に先だってケガレを避け、心身の清浄につとめるための建物です。全体で百九十一㎡ある建物には、檜舞台を持つ「神楽殿」や三十畳ある「大広間」もあります。

神楽殿は、舞台の周りの高欄が取り外し可能で、能の舞台としても使うことができます。

また大広間には、炉が切られ、水屋もあって、本格的な「茶の湯」を楽しむこともできます。大広間は会議や茶会、研修やサークル活動など、地域の皆さまに幅広くご利用いただきたいと考えております。

第7号 平成23年10月1日

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